12月 バンビだより
ある日パズルをしていた、きりんぐみ(2歳児)の3人。
〇ちゃんははらぺこあおむしのパズルをしていたのですが、ピースが細かいので「てつだって」とおとなに助けを求めました。すると近くにいてその言葉を聞きつけた☆ちゃんが「いいよ」と手伝おうとしたのです。とたんに〇ちゃん「ちが~う~!!!」とにぎりこぶしを床に打ち付け、両足をバタバタさせて、すごい勢いで怒り出してしまいました。〇ちゃんにしてみれば「☆ちゃんに言ったんじゃない、先生に言いたかったの!なんで勝手に手伝っちゃうの?!」と言いたかったのだと思います。
その思いはわかるのですが、☆ちゃんもかわいそう。せっかく優しい気持ちで手伝おうとしたのにものすごい抗議にあい、しょぼんと肩を落としてわたしのひざに乗ってきたので「お手伝いしようとおもったんだよね、ありがとね」とまずは☆ちゃんの気持ちに寄り添いました。その言葉に「そうだ、てつだってるんだからわるくない」と思いなおしたのか、もう一度手伝おうとした☆ちゃん。そして(案の定)再び猛抗議を受け、悔しさのあまり☆ちゃんがとびかかろうとして取っ組み合いのけんかが始まりそうだったので、いったん2人の距離をとり、話をしました。
このようにどちらが悪いわけでもないことでけんかになることが、子どもたち同士ではよくあります。看護学校から実習にきている実習生さんもこういう場面にあうと困ってしまうようで、1日の終わりの振り返りのときに「ああいうときはなんといって仲裁したらいいんでしょう」と質問をしてくれる方が多いです。
そんなときはわたしがいつもこころがけていることをお話するようにしています。
・けんかはおとなが仲裁したり解決したりするものではないこと。
・おとなの役割は裁判官ではなく通訳だとおもっていること。
・まず自分の気持ちを受け止めてもらえれば、次に人の気持ちも聴くことができるよ
うになること。(時間はかかるけど)
特に2歳児さんは今までの経験もあり、自分たちで解決する力をしっかり発揮してくる時期です。それを信じていれば、試行錯誤はあったとしても、子どもたち自身で納得することができるんですね。
上のパズルのケースでも「〇ちゃん、先生にやってほしかったんだねえ」「☆ちゃんは手伝ってあげたいもんねえ」と両方の気持ちをつぶやいたところ、しばらくお互いに怒っていましたが、そのうちになにもなかったかのようにパズルの続きを始めたのでした。
このように思い切りけんかをやりきるということは、実はなかなかさせてもらえないことなのではないかと最近感じます。
先日は見学にきた地域の保護者のかたの目の前で1歳児クラスの子どもたちのたたき合いのけんかが始まったのですが「こういうこともおとながすぐに止めないんですよ」と説明したら、「かわいい…」と涙を流して感動されていました。その姿にわたしも感動してしまったのですが、やはりそれだけ「貴重な」機会なのかなとも思いました。
子どもが子どもらしくいられる場を、これからも大切にしたいなあと思っています。
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