8月 バンビだより

梅雨も明け本格的な夏を迎えました。夏といえば、プール、すいか、花火、キャンプ、せみ、あさがお…そして研修と平和の月です。子どもたちの保育は平和な社会があってこそ。いつもそのありがたみを忘れかけてしまいますが、もう一度戦争のこわさと平和の尊さを感じる日々にしたいです。

子どもたちとの生活の中ではどんなふうに平和について伝えればいいのか、いつもいつも考えて、声掛けの一つひとつに気を付けるようにしています。なにより大切に考えたいのは「人権」。

ある日も、うちわを2本持っているAちゃんと、うちわを持っていなくて貸して欲しいBちゃんとの間で険悪なムードが漂いました。

こんなとき「2本持っているなら貸してあげて」は、多くのおとなが言ってしまいがちな一言です。「Bちゃんはおねえさんだから、Aちゃんのこと待っていてあげて」これも言ってしまいがち。

でもどちらの言葉もふたりの思いには添っていず、「1本あればいいのでは」「年が上なら待てるのでは」というおとなの決めつけになっていると思うのです。

これでは子どもたち自身が考える余地がありません。これから育つ子どもの権利として、「考える」「迷う」「失敗する」権利はとても大事で、おとなによってつぶされてはならないと考えています。

だからこのときもAちゃんには「Aちゃんふたつほしいもんねぇ」、Bちゃんには「Bちゃんはひとつほしいよねぇ」といいました。どちらの思いも汲んで、それぞれ言葉にしただけです。

すると1歳児さんのAちゃん、一瞬考えて、2歳児さんのBちゃんに「はい」とうちわを貸してくれました。貸してくれることなんて期待していなかっただけに、「えっ、貸してくれるの?!ありがとう!」とこころから言うわたしに、にっこり笑うAちゃん。そして貸してもらえないかも…と思っていたBちゃんも意外な顛末に「うわ~、かしてくれた!」というように嬉しそう。「よかったね~~~」というとにこにこでした。

こんなにうまくいくことばかりではないのですが、おとなが「この場面はどうにかしなきゃ」と思っていると、その気持ちが通じるかのようにこじれていくことが多いような気がします。それよりも子どもの気持ちを受け止めて代弁することで、子どもたち自身が考えて決めたほうが、ずっとすんなり解決するのです。きっとそれは、子どもの人権を守って気持ちを汲んでいることが、子どもたちの安心につながっているからだと感じます。そしてこの積み重ねが平和に通じる、と思っています。

この幸せな、毎日のやりとりを、これからも丁寧にしていきたいと思います。

バンビ保育室

世田谷区の保育園、保育所、保育室。東京都世田谷区世田谷にあるバンビ保育室です。 産休明け0歳児~2歳児の保育を行っています。

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